春の海

無性に海をみたくなるときがある。それで焼津に行ってみた。港には漁船がびっしり。さすが全国に漁獲量を誇る漁港だ。

私の親戚にも八戸で漁師をしていた人がいて、子供のころ大漁祭りに行ったことがある。大漁旗を立てた船たちが港を走り回るのは壮観だった。風になびく、たくさんの大漁旗が眼に鮮やかだった。漁師をしていた義理の叔父は、ふだんはめったに笑うことはなかったが、そんな日はとても機嫌がよく、波に揺れる船の舳先に誇らしげに立っていた。

そのころから海が好きだった気がする。それで、八戸の実家に帰ったときは、時間があれば必ず種差海岸へ行くことにしている。

観光案内より抜粋

春が近づくと、海が恋しくなる。なぜかというと、高校三年のときのことを思いだすからだ。私は進学クラスに属していたが、途中から挫折して成績も落ち、大学に行くのをやめようかと迷っていた。気持が暗くなるときには、よくこの海に行った。そうして、何時間も波をみつめていたのだった。

                     観光案内から抜粋

海を眺めていると気持がおちついた。ある日、寒い浜辺に何時間も座っている私をみて、海沿いにある食堂のおばさんが声をかけてきた。心配してか、ラーメンを食べて行けという。あのときの温かいラーメンと、食堂のご夫婦のことはいまだに忘れられない。

種差の海に比べると、駿河湾の海の色は明るい。山形にいたときはよく新潟の海まで車を走らせたが、日本海の海はさらに暗かった。

焼津の海へ行ったあと、いつものようにいつものところへ行くと、とてもいい感じの親子をみかけて思わずほっこりした。

双子と思われる幼い男の子たち。お父さんは両の手に子供たちの手をしっかりと握り、歩いていく。速足で歩くお父さんに、懸命についていく子供たちの姿がめんこい。おとなの私でも追いつくのが大変なほどだった。お父さん、もう少しゆっくり歩いてあげてね。

このごろ、まる子とチビはそれぞれのペースで動くようになっているが、一緒になると、とたんに舐めあう。だから、首の後ろに薬を滴下するタイミングがむずかしい。仲が良すぎるのも困る。そろそろマダニやノミが出てくる季節になったから、定期的に薬をやっている。

 

 

 

 

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