チビは餌を食べたあと、必ず、伸びをする。ムニュッ、という感じに。それをみると、こいつ、やるな、という気持になる。なぜかというと、そんなしぐさをみると、ここにくるまでの坂のきつさもどこかへ吹き飛んで、メロメロになってしまうからである。チビはべつに自然にそうしているだけなのだが。
まる子と富士山
その点、まる子の方は、さすが先輩である。人懐こいようでいて、つねに相手を観察している。背中を向けているときもだ。そして、感情の波が激しい。たまに、当たり散らすようにして爪を出すこともある。
それでも、こうして、おじさんの背中や私のリュックの陰でくつろぐのが好きである。けれど、膝に乗ることもないし、捕まえようとすると、するりとかわす。
通りすがりの人たちは、まる子の人懐こさに気をとられているが、なんのなんの、一筋縄ではいかない。
それでも、ときどきはこちらが喜ぶことをしようする。ちょっとつれなくしておいて、ご機嫌をとるような感じ。まさに人たらし。木に登ると私がとても喜ぶのを知っていて、「じゃあ、たまには登ってみましょうかね」という顔で登る。
男たらしや女たらしという言葉はよく聞くが、猫は、なかなかに人たらしである。相手をいつのまにか自分のペースにまきこんで喜ばせてくれる。通りすがりに餌をやる人が多く、太ってしまったので、私は近頃、餌をやりにいくというよりは、様子をみたり遊んでやったりという感じになっている。
朝は、消防の出初式をやっていたようだ(これは去年のときの写真)。池での放水はなかなかダイナミック。
みるからに寒そうだ。これからは、いよいよ寒さが厳しくなって、丘登りも辛い季節。チビとまる子にとっても、池のまわりの猫たちにとっても、最も厳しい時期がやってくる。私が丘の上に通いだしてから三度目の冬だ。どうか、みんな無事に冬を越せるように。