朝日が気持ちいいね。みんな一緒に、光に向かって。
まるで先生に引率される生徒のように並んでいる花たち。ちらほらと咲いていた彼岸花は、木々に守られるようにして、いっせいに咲き始めた。
そして公園には、新入りの猫が。工事を終えた歩道を探索中。でもそこはまだ立ち入り禁止だよ。まあ、きみたちはどこにだって自由に行けるから関係ないけどね。
茶トラの模様とか、体毛の色とか、ナナに似ているけれど、ナナのほうがもう少し剽軽な顔だった。ナナは、工事が始まってからしばらく姿を見せなかったが、坂の途中から分かれ道になる藤の里に避難していた。そして、先日、ナナに餌をやっていた人に引き取られた。
去年の今頃は、だれかれとなく必死に呼びかけて餌を要求していたナナには、一緒に暮らしてくれる人がみつかって、思いもかけない幸運がやってきたというわけだ。彼女と一緒に幸せに暮してね。ご飯をもらって、まったりとくつろいでいる君の姿を見られなくなるのは、さびしいけれど。
ナナ
ナナは、何度も彼女に捕まえられそこなって、そのたびに姿を隠したが、やっぱりまた彼女の元へと出てきた。それだけ彼女が好きだということで、彼女のほうも情が移ったらしい。4回目の捕獲トライでようやく保護された。
時々立ち寄るお寺の猫たち。茶トラの一匹は、ナナとよく似ているが、透き通った琥珀色の瞳にはいつも癒される。
しばらく行っていないあいだに、三匹いるはずの猫が二匹になっていた。一匹が最近死んでしまったらしい。そうしたら、見知らぬ猫がやってきたのだという。お互いに、まだなじんでいないのかなあ。
ずっと一緒だった仲間がいなくなったときは、きっと寂しかっただろうね。でも代わりといってはなんだけど、新しいのがやってきたのなら退屈しないよね。おまけに子猫もいたということで、住職さんの手はひっかき傷だらけだった。
公園の駐車場に着くと、クラシックなスタイルの車が止まっていた。おしゃれ! 大事に大事に乗っている様子をみると、車の主は、よほどこの車に惚れ込んでいるとみえる。
考えてみれば、車も出かけるときにはいつも一緒だ。そして、車にも相性がある。それは、運転席に座った時の感覚で決まる。
車とはちょっと違うが、相性がいい人というのは、話しているとつい時間を忘れてしまうような人のことだろうか。反対に、ちょっと話しただけでも、ズンと、疲れてしまう相手もある。無理をしてあわせることもないよね。猫のように気儘にいこう。