主が引っ越して行った家の庭で、秋の花が賑やかに咲いていた。なんだか主のいない虚しさを精一杯おぎなうように。
花たちがたがいにお喋りでもするみたいに賑やかに咲いているのをみて、ほっとした。他人の家ではあっても、荒れ放題になっているのは、みるにしのびないからだ。
この家に住んでいたご夫婦とはよく公園で出会った。時間帯やルートが似ていたからだ。猫好きなものどうし、よく話をしたもので、ご夫婦ともに、笑顔を絶やさない人たちだったので、会えなくなってちょっとさびしい。
その公園では、今、彼岸花が咲き始めた。
この花はあまりいい意味に使われることはないみたいだが、これほどの存在感を示す花もめずらしい。緑の中に鮮やかな赤。あたりを威圧する女王様みたいに端然としている。
三毛子は、すっかり外が気に入り、半年ぶりの外界にも慣れてきたのか余裕の感じで、外でもくつろいでいる。
隣りの家のモモに、早く出ておいでよう、と言いたげに覗いている。モモも三毛子が外に出ていると、早く出してくれとせがむのか、鳴き声が聞こえてくる。
そしてモモがうちの庭におでましになると、二匹は庭で追いかけっこして、どこかへ行き、しばらく帰ってこない。喧嘩をするような声は聞こえてこないから、たぶんうまくやっているんじゃないだろうか。
庭にはトカゲくんもおでましになり、こんにちわと言いたげな顔。猫たちにみつからなければいいがと思っていたら、宅急便のおじさんの足音に驚いて、どこかへ・・・。
秋はなんとのうさびしいから、せめて庭だけでも賑やかにかぎる。トカゲも猫も、カマキリもバッタもみんなおいで!
去年の冬、寒さに耐えかねてか家に入ってきたカマキリ。剽軽! ハムが好きだった。
そんなことを考えながら、友人のお宅に向かっていたところ、どこかの家の庭に、なんと、馬がいるのを発見! ポニーかな。ちょっと小型の馬だ。庭も馬仕様にしてあった。うわっ、いいなあと思わす溜息をつきながらしばらく眺めた。
実家で飼っていた馬はとうに死んでしまったが、その背中に乗って歩く時の、モコモコした感じはいまだに覚えている。馬は睫毛がかわいいのだ。
今日は富士山に初雪が降ったという。いつのまにか、すっかり秋になっている。大気が澄んできて、伊豆半島もはっきり見えるようになってきた。白い船もあちこちに。海にお船を浮かばせて、行ってみたいな、よその国~♬ そんな歌も自然に出てくる。