猫もおだてりゃ木に登る。

チビの木登りシーズンが始まった。古墳の丘のケヤキの大木は、チビのお気に入り。高い所に、瞬時に登る。

こんなふうに、なんのとっかかりもない、東屋の支柱にも平気で登る。すごい能力だ。

昨日は雨だった。もう使わない服をリュックに入れていたので、濡れているまる子に敷いてやると、そこから動かなくなった。テーブルは公共物なのでそのままにしておくわけにもいかず、かたづけようとするが、気持ちよさそうにうとうとし始めるし、取り除くのはあまりに酷な気がして、そのまま帰ったのだが、今日行ってみると、誰かがたたんでおいてくれていた。ありがとう。でも、さすが猫。きょうはまったく関係ないという顔で、さわりもしないので、またリュックに入れて帰ることにした。

薄曇りの天気の今日、このごろご機嫌のチビは大はしゃぎ。あちこち走り回って遊び三昧。「チビ、すごいねえ。元気だねえ」と声をかけると、「よっしゃ、やったるでえ」という感じで高いところをめざす。手を叩いてほめてやると、またつぎの木に登る。

なんていじらしい子だ。おまえの運動神経はネコリンピックでもきっと、世界新記録のはずだぜ。つい、独り言が出る。こんな様子をみていると、やっぱりこの子には、家の中に閉じ込めるられるような暮らしは無理だろうなあと思う。

まる子もたまに登ることがあるが、なにせ太りすぎて体が重く、おっかなびっくりだ。それでもチビが登ると、あたしだって負けちゃいらんない、って感じで、自分も登る。チビのようにひょいひょいというわけにはいかないが。

だが、今日のまる子は木登りをする気分ではないらしく、草むらに身をひそめ、なにやら考え事をしている顔で、こういうときの猫は、哲学的だ。

野にはあざみが咲いている。子供のころ、紫の花弁を摘んでその蜜を吸ったものだ。ほんの少しの甘い蜜が、遊びすぎて渇いた喉には心地よかった。

池には、ハスの葉がたくさん出てきた。このカワウは、いつもこの棒の上にとまって剽軽な顔をしている。ここはおれのシマだ、と言っているように。日差しがさしているときには、羽の日干しも欠かさない。

猫だけでなく、それぞれ、みんな、自分の居場所を確保することに懸命だ。