狂い咲き

台風の前のせいか、どうも天気がおかしいようで、藤の花が今頃になってまた咲きだした。ずっとここに通っているが、こんなことは初めてだ。4月末に咲いたはずなのに、8月になってまた咲くなんて。花はさすがにこぶりだが。坂道の例の花も、もじゃもじゃになって、狂ったように咲いている。

昨日、富士はおほろげにみえた。みえるのはひさしぶりだ。暑いのなんのって、日暮れ時になっても、30度を下回らなかった。夕方の気温としては、たぶんこの夏で最高だろう。花でなくとも、おかしくなるのは当然だ。 

丘ダチ(丘の上でよく会う人)の、モカの飼い主さんとはよくお喋りが弾む。昨日初めてひょんな話から同い年だということがわかり、親しみが増した。少しくらいの雨でも暑い日にも、当然寒い日にも、ほかに誰とも会わないような日でも、彼女とモカには会う。さすがに嵐のときにはこないけれど。初めのころにはチビもまる子もモカをみると身構えていたが、このごろはそんなこともなくなった。

今日は夕方、かなり激しい雨が降りだしたので、丘ダチの誰とも会わなかった。雨は降ったりやんだり。降りだすと、チビは小さな雨宿り。おいおい、そんなもんで雨宿りのつもりかいと言いたくなるが、ちょっとおもしろい。猫の行動はほんとに意外性があって予測がつかないところが、なんとも魅力なのだ。

家を出る前に庭に出てみると、ヤマボウシの木のそばで、このあいだのクワガタが息絶えていた。その一方で、網戸には、例のカマキリが。ずいぶんと大きくなって、もうじき一人前の大きさまで成長している。雨戸をしめるときにうっかり圧し潰してしまうともかぎらないので、ヤマボウシのそばに移してやった。

どうにかして家の中に入りたいらしいのだ。やっぱり冬にカマキリを保護したせいなのか? 帰巣本能かなあとも考えてしまうほど、家の壁や網戸に張り付いている。ふつう、カマキリというやつは、草木にしがみつくものではないのかと思ううんだけど。カマキリに聞いてみたい気がする。

ヤマボウシのそばには、今、ユリの花が咲いている。ユリの花をみると、ふっと、フラダンスをしていたころにみた、とても立ち姿が美しかった人のことを思いだす。背が高く、腰の位置も高くて、ポーズをとる姿が、うっとりするほどカッコよかった。

クワガタを見届け、カマキリを網戸からひきはがしてヤマボウシに移し、それから家を出て、狂い咲きの藤に驚き、坂の途中で姫に餌をねだられて餌をやり、糸がこんがらかってしまったような白い花に笑いがこみあげ、重い長靴で上までたどりつくと、雨は運よくあがっていた。

こんな日は、丘の上には誰もいない。ランナーや家族連れ、毎日のようにウォーキングする人も通らない。そのせいか、まわりがやけに広々としてみえる。チビとまる子が一緒にいるときは、それでも帰ってきやすい。バイバイと声をかけると、またね、という顔をして二匹ともこっちをみていた。チビもようやく一人前になり、二匹でいても、対等な感じになってきた。

 

 

 

 

 

 

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