古墳のベッド

小さな蓮の花が終わったあとは、大きな花びらの蓮が咲き始めた。そのうちに、池全体を覆うようになる。

池を周遊する道の向こうで、ケンが座っているのがみえた。ケンと声をかけると走ってきて、こんなポーズ。おやつを持ってこなかったよ、ケン。しょっちゅうブログに登場してもらっているのに、おやつの一つもないなんてな。悪いな。今度は忘れずに持ってくるよ。

ねだってもおやつが出ないとわかると、かなりご機嫌斜め。急にそっぽを向く。

ケン、今度会う時のために、リュックにおやつを入れとくからな。

きのうは満月で、ストロベリームーン。アメリカの先住民は、月ごとの満月に名前をつけた。6月の満月は、イチゴが熟すときなので、そう名付けたのだという。

草ぼうぼうで、猫さえ入りたがらなかった古墳の上の草が刈られて、猫たちには格好のベッドになっている。石の上のように固くもなく、人も通らないところ。そのうえ、小高く盛り上がっているから、見通しもきく。なので、安心なのだ。

この時間にいつも会う人が、チビのことを、小さな猛獣のようだと言って通り過ぎて行った。

その猛獣も、ちょっとうたたね。そしてまる子も。きっと柔らかくて土の温かさも感じられて、気持ちがいいんだね。

まる子はすっかり回復したようだ。リラックスしておちついている。

よかったね、元気になって。楠男くんへのおまじないがきいたのかな。太めのワイヤーでつないだ水の容器もまだ切られてはいない。

坂道に咲く小さな花も笑いかけているようにみえる。ひさしぶりのおじさんに。いつも二人で歩いているから、私一人のときは、どうしたのかと何人かの人に尋ねられ、困った。おじさんは、なにしろ犬たちに人気があるのだ。

手術のことを話し、再び二人で歩くようになったら、事情を知っている人たちから、よかったねえ、と声をかけてもらった。温かい人たちだ。こんな人たちと知り合えたのも、チビまる子のおかげかもしれない。

駐車場の近く、博物館の壁のところで、回転の連続技をしている青年に出会った。逆立ちをして壁を蹴り、その勢いで、連続回転する。眺めていたら、自分もしてみたくなった。どう考えても無理だけれど。

私は、体育がとても苦手だった。走るのは遅いし、跳び箱は飛べなかったし、動きが鈍いから球技もへただった。なのに、今は、たぶん、同年代の人たちよりもずっと歩いていることが、ちょっと誇らしい。

10年前、大阪にいたころに股関節を傷め、医者から、坂道や階段の上り下りはやめた方がいいといわれ、それ以来、あまり歩かなくなっていた。ここ蓮華寺公園にきても、池の周りを一周することすらままならなかった。なのに、チビまる子のもとに通いだしてから、今では、毎日、坂道の上り下り。あのまま歩かない暮らしを続けていたら、今頃はどうなっていただろうか。