夏色の空、ツバメ飛ぶ。

今日は、ひさしぶりに富士がみえた。とても風が強くて、富士のまわりの雲も吹き飛ばされているようだ。ツバメも、夏のように晴れた空を、気持よさそうに空中飛行。

おじさんが退院し、きのうは雨のなか、ひさしぶりに二人してチビまる子のところに行った。まだ呼びもしていないのに、声が聞こえたのか、まる子が真っ先に飛んできて、あとからチビも。おじさんと猫たちとの再会シーン。ちゃんと覚えているんだなあ・・・。

なのに、きょうのまる子は元気がない。午前中に餌やりに行っている人から、まる子の様子がおかしいと連絡が入ったので、薬を持って行き、虫除けの滴下をし、飲み薬を餌に混ぜてやった。敏感なまる子は薬の匂いを嗅ぎつけ、あまり食べてくれなかったが、お腹が空いていたようで、少しは入ったようだ。

毒虫にでも刺されたのか、ひっきりなしに体を舐めたり走り回ったりしていたらしいが、少しおちついたようだ。

水を入れる皿を何度も持ち去られるので、容器にワイヤーをつけ、木の根につないでいたのだが、昨日また、ペンチで切られ、容器はなくなっていた。いったい誰が? おそらく、餌やり注意の貼り紙を剥がす人と同じ人物だろう。それで今日は新しい水入れを持って行き、さらに太いワイヤーでつないだ。また切られるかもしれないが、そんなことでめげているわけにはいかない。

丘にくる途中、ギターを弾きながら歌っている人がいて、思わず立ち止まって聴いていた。ここのところずっと雨ばかりで、ひさしぶりに晴れた休日の公園はにぎわっていたが、みな、足早に通り過ぎるばかりだった。

これは、素人の歌ではない。とっさにそう思った。その歌声に惹かれて話をしてみると、やっぱりプロだという。グループでライブを開いたり、いろんな施設に慰問に行ったりするのだという。

若いころに、副業で歌手をしていたことを話し、師事した師匠に言われたことは、「歌うな、語れ」ということだったそうだ。60歳で本業をリタイヤしてからは、グループで歌ったり、ライブを開いたり、個人でこんなふうにゲリラライブをしているのだという。充実した表情が印象的だった。定年後の暮しを、好きな歌で楽しんでいるっていう感じ。

憂いのある彼が歌ってくれたのは、昔、よく流行った歌で、口ずさみながら坂道を登った。二日間休んでいるうちに、丘の上の草はきれいに刈られていた。視界がすっきりとし、風通しもよくなった。

刈られたばかりの草むらには虫がたくさんいるようで、スズメたちが遠足のように並んで虫を食んでいる。

それにしても今日は嵐のように風が強く、石の上に坐っていた私のそばにようやく近づいてきたまる子も、耐えられずに茶畑に逃げ込んでしまった。

午前中に行ったひさしぶりの蓬莱橋も、風で揺れるほどで、座り込んでしまった。

川の砂煙が舞い上がっていた。

今日は、まる子が元気がないせいで、チビのほうも今一つの様子だった。「明日は元気になあれ」と、おまじないを言い、いつものように、坂道に君臨している楠男くんにも願かけをして、ゆっくりと坂道をくだってきた。