スローライフ

なんだかエネルギーが枯渇して調子が出ないとき、ふらりと立ち寄って会いたくなる猫がいる。公園のチビまる子のように、世話をしたり責任を感じたりしなくてもすみ、ただ眺めているだけでいいから気も楽だし、寺の境内というのがおちつく。

例のお寺さんの境内にいる猫たち。ゆっくりと近寄って行くと、調子はどうだいとでも言うように、ニャアと言いながら寄ってきてくれる。いつも、親しみを込めた態度をしてくれるから、なんだかほっとするのだ。ここの猫たちはほんとにいいやつらで、スローライフな猫たちだ。

後ろにもう一匹、黒いのがいる。住職さんが帰ってくると、餌がほしいのか、そばに走りよって行く。

けれども、この静かな寺にくる途中の坂道には、緑の中に突然現れる極彩色の像があり、たじろぐことがある。こんなところに、なぜ? 通るたびに気にかかっていたが、公園でたまに話をする人から由来を聞くことができた。

作者は、もとは美術の教師だったそうで、教え子と結婚したが、のちに、その相手がほかの人を好きになってしまったのが原因で家を出て、この山に掘立小屋を作り、この不動明王を彫りはじめたのだという。

その暮しを気の毒に思った人たちが食物や風呂などを提供し、そんな協力もあって、この不動明王は完成したのだというが、荒々しい感じを受けるのは、作者の感情が炎のようにたぎっていたからだろうか。精魂が込められている像を前にすると威圧され、ついハンドルを握る手に力が入る。

そして、深いカーブの坂道を登って行った先に、スローライフを送る猫たちがいるというわけである。猫をみたとたんに、体から力がすっと抜けるのである。

スローな性格の私にとって、蓮華寺公園で出会う人たちや、犬や猫たちも、欠かせない存在だ。このあいだ、写真を撮って渡してあげた方からかわいい手紙を頂いた。

この黒猫の絵は、我が家の昔猫のプリンみたいだ。プリンのやさしさには、どれほど癒されたことだろうか。

アンちゃんは、あどけない顔が魅力的だ。

コストや効率を優先するファストフードに対して、近頃はスローフードというのが見直されているようで、蓮華寺公園の脇にも、そんな店ができた。

スローフードというのは、その土地の料理や食材を守り、それを感じる舌を育てることなのだという。

今どきめずらしい計り売り!

で、人込みに誘われてか、なっちゃんも出てきて、御見物。

プレオープンのこの日は、店からいい匂いが漂っていて、池をみながら芝生のベンチで食べている人たちもいた。すぐそばのスターバックスはいつも混んでいるが、この店はまた違う雰囲気だ。

丘のチビまる子も、スローライフなのかな? 

これでもチビは隠れているつもり。大きな男の人がくると、さっそく隠れる。このあと、チビはスズメを捕まえて、見せにきた。自然なことといえば、そうだが、自然というものは残酷でもある。