小さな宇宙

早朝に眼がさめたら、めずらしく雨が降っていなかった。それで、庭に出て雑草をとることにし、這いずり回っていると、庭の隅に鮮やかな黄色の点々。うん、なにこれと思って近寄ると、苔の花だった。苔に花が咲くなんて知らなかったなあ。

越してきたときからあった苔。庭の隅にほんの少し生えていたのを、ふやしてみることにしたら、あまり日当たりのよくない場所のせいか、どんどん領域を増やしていき、今では、庭のグランドカバーにになりつつある。一面に広がっていくのが楽しみだ。

ふっと眼をあげてみると、家の壁を小さなカマキリが歩いていた。よくみてみると、卵から孵ってからまもなくのようだ。まだ羽が生えていないから飛ぶことができない。頭でっかちで、なかなかにかわゆい。

ちびのくせに、近寄るといっちょまえにカマをふりかざす。この赤ちゃんカマキリは、もしかすると冬に家の中にまぎれこんできたカマキリの子供かもしれない。一瞬そう思った。

何時間もかけて彼女が産みつけた観葉植物の葉っぱを、庭の、風のあたらないところにそっと置いてやっていたから。でも、無精卵だったからなあ、違うかな。

なんか、命のつながりみたいなもんを感じながら、雑草取りを延々と続けた。どういうわけか、草取りというものは始めるときりがなくなるものでして。

日当たりのいいところを選んで、春に作った小さな畑。おっ、ミニトマトがやっと色づいてきたぞ。雨ばかり続いているから、色づくのが遅い。それに私が変なふうに剪定してしまったから妙な具合に伸びてしまった。それでもちゃんと実をつけている。

雑草の幹についていた鮮やかな模様の虫。目玉のような丸い斑点が等間隔に並び、しっぽの模様も含めて色とりどり。地模様は黒に小さな白い点々。敵から身を守るために、虫たちはなるだけ怖そうな模様にしているのだと聞いたことがある。それにしても、とても変わった模様。庭には、小さいけれど、さまざまな世界が広がっている。

3時すぎからまた雨が降ってきて、雨合羽をリュックに入れてでかけた。坂道を上るときにはそれほど雨はひどくなく、いつものようにケヤキのそばの石のところで餌をやってから、猫たちと一緒に東屋まで行ってしばらくのんびり。ここは屋根があるから濡れる心配もなく、雨の日は上ってくる人も少ない。水入らずの団欒となる。

それで、チビとまる子は、縦列で昼下がりのうたたね。

まんまるお尻と普通のお尻が二つ並んだひととき。

帰り道は雨がひどくなってきた。坂の下までおりたとき、姫が鳴き声をあげながら追いかけてきたから、こちらにも一皿献上。食べ終わると、近くのタンクの下で雨宿り。つぎのおめあては、ボランティアの人かな。

一見、気ままにみえるが、家のない猫たちは、人の知らないところでめいっぱい知恵を働かせ、懸命に身を守ろうとして生きている。