ご機嫌なカエル

古い家の軒先にお手玉が飾ってあり、みつめているうちに、子供の頃に妹たちとどれだけ長く続けられるかと競ったお手玉遊びを思いだした。二つ取り、三つとり、四つになるとだいぶ難しくなる。

お手玉のことを思いだしているうちに、ひさしぶりに手仕事をしたくなり、編み物でもしようかと思い立ち、帰ってから毛糸を出すと、案の定、三毛子のおもちゃになってしまう。まあ、それを期待しているところもあるけれど。

三毛子を再び外に出さなくなって一週間近くになる。二階の窓やベランダから外を眺めては、外に出たそうにしている。網戸をあけて出てしまったことを機に出してみたけれど、やっぱり、車の下が好きな三毛子には危険すぎる。出したり出さなかったりすることを胸の中で詫びている。

毎日、雨が続くので、家の中の模様替えをしたり、ひさしぶりに編み物や縫物を始めたりし、夕方になると公園へと急ぐ。ずっと雨の日が続き、家なき猫たちは一苦労。姫は、ずぶぬれで出てくるし、チビまる子たちも濡れた体で二匹、温めあっている。

笑っているように見えるカエル。

こんな日は誰にも会わないので、いつか、坂道の途中で出会ったウシガエルと遊んだことを思いだしながら、今日あたり出てくるかなあと思いながら歩いて行くと、今度は別な模様のカエルが似たところから出てきた。このカエルもなんだか退屈そうにして道の真ん中に坐っていた。

そして、笑っているように見える顔。おもしろい。なので、また傘で撫でてみる。すると、やっぱり気持ちよさそうにする。

なんと人懐こいこと。カエルというのは、こんなにも人懐っこいものなのだろうかと、あらためて思う。みかけは醜悪だけれど、なんとなく憎めなくて、薄暗くなってくるなか、しばらく遊んでみた。

このあいだのカエルとはだいぶ模様がちがう。お腹がふくれていたから、メスかもしれない。それとも、種類がちがうということなのか。どっちにしても、向こうも退屈、こちらも退屈で、おたがいに退屈しのぎになった。

坂道に咲く冬桜もひっそりと咲き始めた。春の桜も藤の花も銀木犀も、毎年咲くのに、毎年ちがってみえるのはなぜかなあ・・・。でも、4年も通っていて、ご機嫌なカエルに二度も会うなんてことはは初めてだ。

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