猫と雨の町

毎日、毎日、ぼくらは雨の中。家なき猫たちのそんな声が聞こえてきそうなこのごろ・・・。それでも彼らは、ほんのわずかな晴れ間をみつけては、のそのそと出歩き、遊びだす。猫はとっても楽天家だ。

ときどきみかける、気になる猫。こっちをみつめる眼がとても魅惑的。そして、姿もいい。

後ろにスズメがいることに気づいて・・・。

チャンスをうかがっている。まるで、ホシを見張る刑事のようだ。彼はしばらくこの態勢を続けていたが、結局逃げられた。みかけによらず、ちょっとドジ。

庭の木の枝では、雨の晴れ間を縫って、小さな蝶が羽を休めていた。この模様は、どことなく和服の地模様に似ている。渋くて味わいがある着物。こんな模様の着物を祖母が着ていたなあ。祖母がでかけるときは、タンスの金具がカタンカタンと響き、そばの屏風に着物やら帯やらが、かかっていたっけ。

天気を気にしているのは猫だけではない。こちらも毎日、テレビの天気予報をみては、丘の上へと通っている。レインコートと傘は手放せない。

途中で、姫の後ろ姿をみかけた。近寄ってこないところをみると、御満腹のようで。

坂道でヒジキがこちらをみているような気がしたが、動かない。近づいて行くと、木の根っこだった。色合いといい、しっぽが短い形といい、とてもヒジキに似ている。

雨の日のチビまる子は、私がさしてきた傘の中で食事をする。猫に傘をさしているあいだ、私はレインコートで雨をしのぐ。チュールが大好きな猫たちだが、まる子の肥満を考えて、一袋を半分ずつ。ダイエット用のカリカリをメインにしている。

そして、東屋へと一緒に行くが、もちろんそこはチビまる子の専用ではないから、誰かがくるとどかなくてはならない。つかのまの雨宿りだ。

よく見ると、チビの手は猛獣の手。小さくてもやっぱり肉食獣。

まる子は、雨の町を眺めている。

東屋に二匹を残して立ち去り、下におりると、餌やりのボランティアの人に出会った。50代らしきその人は独身で、もう20年近くもここの猫たちに餌をやり続けているという。最近、お父さんを亡くされたそうで、その話になると、彼女は、「今もね、すぐそこらにいるみたいでね」と言った。もっといろいろ喋りたかったとも。

「私もそうだったよ、何年もたった今でも、ときどきそんな気持になるよ」と言うと、彼女は安心したと言って笑った。ほんとうに、親の気持がわかるころには、すでに親はいない。