蓮華寺池公園に隣接する文学館で、平安王朝文化展というのが催されている。おもしろそうなのでチビまる子のところに行く前に寄ってみると、なんとも豪華で圧倒され、つい、牛車にまで乗ってしまいました。
光源氏の邸宅、六条院も再現されている。
かの源氏物語の世界がつくられていて、その華やかさにぼうっとしてしまいましたが、この時代に生まれなくてよかったとも思いました。
なぜかって、この世界では、女性は美しくたおやかで、しかも若くなくてはならないのですから。もっとも、それは貴族の世界のことでしょうけれど。
上の高いところにいるのが、光源氏。彼のまわりにはいつも女性たちがいます。それゆえ、たえず女たちのせめぎあいの渦の中にあります。
もしも、その時代に生まれ、光源氏に会うチャンスがあったとしても、きっと御簾の陰に隠れ、遠いところから覗くことしかできなかったでしょう。
でも、恋しい人をただ漠然と待っているだけでは、若さなどすぐにしおれてしまう。それで女たちは、あの手この手を使うわけです。
その時代の恋文はこんなふうにして、季節の花に結んで送ったんですね。胸がくすぐられるような風情があります。
手紙を季節の花に結び、相手に送る。人生を賭けるほどの思いが込められていたのではと、察します。
平安時代の女官たちの格好は、左から順に変わっていったようです。平安時代の初期は唐風で、遣唐使の廃止とともに日本独自のものへと変化していきますが、どれも、着るにしても動くにしても、とても大変そう。
こんな格好では、ああ、くたびれたから昼寝でも、などと気軽に横にもなれそうになく・・・。お風呂に入ること一つとっても、とても時間がかかりそう。眺めていても、そんなことばかり考えてしまい、貧乏性の性格が出てしまいました。
これは、貴族たちが乗ったという牛車のレプリカ。前のカーブしているところが、牛の首の付け根あたりに乗り、人間も一緒になって曳いている絵がありました。
レプリカといっても、中の飾りも外も本物そっくりに作ってあり、乗ることもできました。けっこうな高さがありまして、車輪の直径は170センチ以上はあるのではないかと。なので、乗ってみると、まわりを見下ろすという感じになります。
光源氏が牛車に乗って、元カノの家の前を通るとき、牛車の簾をあげ、そっと中を窺うという場面がありますが、この高さなら、きっと塀の中も見えたことでしょう。
外に出ると、池のまわりも春めいた空気に包まれていて、もうすぐ春だなあという陽気です。
丘の上では、チビとまる子が、めずらしく崖の木の下で、待っていまして、「なにしてたのよ、遅いぞ」というような顔。道草くっちゃってゴメン!