赤と白

昨日の夜、雨が降った。富士の雪のスカートはまた長くなり、赤い富士。

夕陽を受けて赤くなっていた富士は、じきに白い富士になる。毎日、丘にのぼっているから、天気がよければ、富士の顔をみる。けれど、もう二年以上も通っているのに、飽きるということがない。季節や天気のちがいはもちろんだが、ほんのわずかな時間の差で、まるでちがってくる。今日の富士は神々しかった。

こんもりとした古墳の上にのぼって富士をみていると、まる子ものぼってきた。あいかわらず好奇心旺盛。

帰り道、下の池では、カモのつがいが、いかにも冷たそうな水辺でゆうらりと遊んでいた。

カモというのは、一生添い遂げるカップルなんだとか。みていると、たしかに仲がよさそうだ。

パン屋さんからパンの耳をもらってきては、カモに餌をやる人がいる。いつも私がちょうど坂をおりて駐車場へと向かうころに会う人だ。気さくな人で、ときおり話をする。

その人と話をしていて、怖い話を聞いてしまった。

このあいだ、山の上のお寺に行ったという話をしたら、途中の坂道にお不動さんがあったでしょうという。あった、と答えると、あれを彫った人、知ってるけど、彫ってるうちになにかの神様がついて、それから霊感あらかたになったのよ、と話は続き、人をみて、死期まであてられるんだってという。

そいでね、そこらをさまよっている霊がとりつく人って、お人好しの人なんだって、と話を区切った。ありがちな話に思えたが、聞いているうちに、なんだか背中がぞくぞくしてきた。

そんな話を聞いたせいだろうか。帰り道、急に肩のあたりが重くなったような気がして、車の運転がしにくくなった。

肩に乗ったのが、プリンとマロンだったらうれしいんだけど。プリンもマロンも、なかなか夢にあらわれてはくれない。あっちの世界を二匹して堪能してるんだろうか。

神々しい富士をみた日にしては、みょうな気分の帰り道になった。

 

 

 

 

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