この猫たちはきょうだい。確かに模様も似ていて、なにより仲がいい。
こちらは、まだ子猫。カメラを向けると、レンズのキャップが揺れるので、それを前脚でチョイチョイしたがる。入り口近くのソファにカメラやコートを置くと、さっそく匂いをかいでいた。しぐさがなんともかわいい。
猫カフェがテレビやネットで話題になるたび、行ってみたいなあと思っていた。猫が好きというだけでなく、どんなふうにして猫と人がふれあっているのかなあと関心を持っていたから。
でも猫カフェはたいてい都会にあるようで、たぶん行くことはないかもしれないと思っていたら、なんと、藤枝にもできたというニュース。えっ、それなら行ってみなくちゃということでさっそく訪ねてみた。
この子は、我が家の昔猫のマロンに表情までそっくり。胸がキュッとした。
場所は、藤枝駅北口から駅前通りを歩いて5分とかからないくらいの近さ。コンビニを少し過ぎたあたりのビルの一階で、「いろり」という名前。店の中は猫のことをよく考えた造りになっていて、猫だけでなく人もくつろげるような感じだ。ソファーや椅子など並べてあって、飲み物も飲めるようになっている。床も壁もすべて新しくて気持がいい。
12時からのオープンで夜の8時まで。仕事帰りにも寄れる時間帯だし、駅から近いから、仕事でくたびれたときの癒しにもなるんじゃないかなあ。
私が行ったときは昼過ぎだったが、すでにご夫婦らしき方たちがいて、猫たちと遊んでやっていた。部屋も床もあったかくて、猫が好きそうなおもちゃも取り揃えてある。
縦方向に動きたがる猫たちのために、壁には、キャットタワーのほかに板が張り出している。いかにも猫が遊びそうな仕掛けがあちこちに。それで、「あっ、あすこにいる」とか、「あっ、こっちにもいる」ってことになり、飽きない。
これはガラス張りになっていて、寝ている猫を下からみたところ。おもしろいアイディアだなあ。猫はなかなか腹をみせたがらないから、これだと猫の姿を下から見ることができる。肉球、見たい放題というわけだ。猫は猫で、高いところに行っちゃえば、自分の世界に入ることができちゃうし。
床に置いてあった籠。こういうのって、猫はすぐに潜り込む。安心するんだろうね。
この子は体毛が白っぽく、とくに人懐こい。まだ体も小さく、遊んで遊んでって感じで寄ってくる。
私が帰るころ、いれかわりに入ってきた女性たちが、この猫をみて「かわいい!」と声をあげていた。
受付をしていた男性は、店主さん。まるで猫のように動きがひそやかで、あれっ、いつのまにそこにいたのって感じの人だ。小学生のころ、捨てられていた猫を拾い、育てたのがきっかけで、これまでたくさんの猫たちをみてきたそうで、それが猫カフェに結びついたそうだ。
あったかくてのんびりとくつろげて、健康管理もしっかりできる環境のなか、やさしく撫でてもらっている猫たちは、顔つきもしぐさもおだやかだ。里親も募集しているそうだ。
反対に、野に暮らす猫たちの顔は厳しい。餌の管理もままならない。
チビはようやく、撫でてもらう楽しさを知るようになってきた。初めのころは、餌をやろうとしても、近づくことすらむずかしいほどだった。人も猫も、変わっていく楽しみがある。それがささやかな希望だ。